子宮内膜症とは一体なんなのか、まず子宮の説明からしましょう。
子宮の内側は子宮内膜で覆われています。通常は排卵後に着床がなければ
この内膜ははがれ落ち、それが月経となって体外に排出されます。
簡単に言うと、内膜は赤ちゃんを大事に育てる為のベットのようなものに
なるので、着床がなければ必要が無い為はがれ落ちるのです。
子宮内膜症とは、本来子宮内腔にしか存在しないはずの子宮内膜組織が
子宮以外の場所で増殖し、その場所で月経のたびに出血を繰り返し
この血液が体内に溜まる病気です。
子宮内膜組織が作られやすい場所は卵巣・S状結腸・直腸・仙骨子宮靱帯・
ダクラス窩・腟・外陰部・膀胱・腹壁・へそなどがあります。
子宮内膜症の中でも良く起こるのが卵巣内で内膜組織が増殖し、
卵巣が腫れ上がるチョコレート嚢腫という疾患です。
子宮内膜症のおおよそ8割程度の人にチョコレート嚢胞が見られます。
その他にも、子宮内膜症では腹腔内で増殖して腸、子宮、卵巣が癒着して
出血を繰り返すことにより痛みと不妊症を起こします。
子宮内膜症は、発生する場所によって2つのタイプに分けられ、
子宮筋層などにできた場合は内性子宮内膜症と呼び、
卵巣、卵管などにできた場合は外性子宮内膜症と呼ばれます。
また子宮内膜症は月経のある20代から30代に最も多く見られる病気で、
月経のある25歳から44歳までの女性の約10%から15%にみられると
考えられています。
近年は妊娠経験のない若い女性を中心に増えており、
また10代にも発症がみられます。
子宮内膜症の原因については発生する場所によって
メカニズムが異なっているのではないかとされていますが、
いずれにせよ確かな原因はまだ解明されていないのが実情です。
同じ子宮内膜症にしても例えば、子宮筋層内にできた場合では、
内膜組織が直接筋層に侵入して発症するとと考えられていますが、
卵巣では、月経の際に内膜の一部が卵管を逆流して運ばれるのではといわれ、
子宮から少し離れた場所では、内膜の一部が血管やリンパ管を通って
運ばれるという説などがあります。
また近年において子宮内膜症は発症率が急激に上がった病気でもあります。
これには初潮を迎える年齢が低くなったことや、
出産年齢の高齢化などが関係していると考えられています。
ただ具体的な数字を出してみると今では月経のある女性の約10%が
子宮内膜症だといわれており、これは少し前の約10倍の数字にあたります。
この子宮内膜症の急激な発症率の上昇の有力な説としては、
焼却炉などから排出されるダイオキシンなどの有害物質が子宮内膜症と
関係があるのではないかと言われています。
ダイオキシンはホルモン撹乱物質と言われており、男性女性問わず、
生殖機能に深刻な影響を与えると言われてます。
子宮内膜症は癌とは違って、悪性の病気ではありませんが、
月経痛をはじめとして色々な痛みで日常生活に支障を招き、
最悪の場合は不妊の原因になる場合もあります。
原因不明とされる不妊症の中でも5割から7割の割合で
子宮内膜症が発見されているのが実情です。
少しでもおかしいと思ったら早めに受診して、的確な診断と治療をあおぎましょう
子宮内膜症はここまで読んでもらえばわかるように
成人女性にとって非常に身近な病気だという事はわかってもらえたと思います。
また女性にとっても男性にとってもは一生の問題でもある、
不妊症とも非常に関わりが強いとも言われてます。
子宮内膜症の症状を知る事で早期発見、早期治療につながります、
その為にも自覚症状によって出現した体のサインを感じ取る事が大事です。
あれ、少しでも怪しいかな?と思ったら病院にいくようにしましょう。
子宮内膜症の自覚症状の特徴としては独特の痛みがあります。
痛みを感じるといってもその痛む箇所は多岐に渡りますので、
わかりやすく下記に記載しておきます。
あてはまる場合は怪しいと感じたほうがいいでしょう。
・月経の時に痛む(特に下腹部)
・月経量が多い
・レバー状の塊がでる
・腰が痛む
・性交の時に痛む
・肛門の奥が痛む
・排泄する時に痛む
・吐き気がする
この中でもなんと9割の人が月経痛を感じており、
鎮痛剤を飲んでも2割から3割は鎮痛剤が効かないようです。
また痛さにも強弱ありますが、この中の7割は基本的な生活を送るにあたり
困難なほど痛みが強いようです。
ちなみに子宮内膜症と同じように女性が悩みの種である月経前症候群とは
非常に症状が似ている為、勘違いすることも子宮内膜症の早期発見の困難さに
拍車をかけているとも言えるでしょう。
子宮内膜症の早期発見の第一歩はとにかく月経時になにかしら異変を感じたら、
病院にまず行って検査をしてもらうのがベストといえるでしょう。
子宮内膜症の自覚症状が複数見られた場合は迷わず病院にいきましょう。
ここでは病院でどういう検査の方法をとっているかを説明します。
子宮内膜症の検査というとすごく恥ずかしいような、怖いような、
複雑な気持ちだと思います。
ここで事前に知る事で多少の心構えはできるでしょう。
子宮内膜症の検査方法としては問診後に内診、血液検査、画像検査等が
一般的となっており、検査による痛みなどはほとんどありません。
また子宮内膜症の具体的な検査方法としては3つの方法があります。
双合診、超音波検査、MRI検査と呼ばれるものです。
双合診とは検査する医師が手術用の手袋をつけた状態で片方の指を膣の中へ、
もう片方の指をお腹におき、両方の手と指で挟んで検査します。
これは子宮、卵巣、膣等の腫れ、硬さなどを調べるものです。
超音波検査はエコーとも呼ばれており、妊婦が胎児を見る時に
使用されてるものと同一です。
お腹に超音波をあてて中の画像を取る方法と膣の中に器具をいれて
中から直接写す方法があります。またこの方法は膣エコーとも呼ばれており、
鮮明な画像が取れるため、優れているといわれてます。
またMRI検査とは磁気共鳴画像装置とも呼ばれ、放射線を使わずに
色んな角度から体内の画像を見ることが可能です。
子宮内膜症以外でも様々な病気で使用される検査方法です。
子宮内膜症にはこのような方法があり、検査を行ってます。
完治につながるのは早期発見、早期治療です。自覚症状があったら
出来るだけ早めに病院に行く事が重要でしょう。
子宮内膜症の治療は症状にもよりますがメスをいれる手術をしなくても
治療する事が可能です。
手術するかどうかは、症状の進行具合、本人の希望などを聞きながら
総合的に判断をした上で治療法を選んでいます。
子宮内膜症の治療は軽症ならば鎮痛剤や漢方薬などで症状を抑えつつ、
経過をみていきます。
もちろん薬を服用してる際に病院の方から日常レベルでできるケアの方法の
アドバイスがあると思いますが、それでも子宮内膜症の症状が改善しない時は、
ホルモン療法と呼ばれるものが用いられます。
ホルモン療法とは子宮内膜症の症状が軽度の方を中心に行われている療法で
名前の通り、ホルモンの働きをこちらである程度コントロールする事で
体内に擬似的な閉経状態や妊娠状態を作り出すことによって、
子宮内膜症の症状を改善するものです。
子宮内膜症のホルモン治療は月経痛を抑えてはくれますが、その症状によって
適した治療法や投与する薬も違いますので担当する医師と良く相談し、
ホルモン治療を行った際のデメリットもきちんと把握した上で
行っていくことが必要です。
また、ホルモン治療などでは治療が困難な場合は、
やはり手術が効果的といえるでしょう。
根本的な治療と効果が見込め、最近では切開が不要な腹腔鏡という方法が
可能になってます。
腹腔鏡を用いて内膜症を取り除く、または癒着を処理したりする事もできます。
また子宮内膜症の症状が小さければレーザーを使って蒸散させる事ができます。
しかし切開が不要といっても3~4日の入院は必要となりますし、
全身麻酔を行ないますので医師の技術にもよるところが大きいといえます。
子宮内膜症の手術を行うまでは様々な治療が行われます。
鎮痛剤、漢方薬、ホルモン治療などで治療を行っても一向に症状が
改善されない場合、もしくは根本的な治療を考えるとやはり手術になります。
子宮内膜症の手術には2種類の手術方法があります。
1つは保存的手術というものでもう1つは根治的手術と呼ばれるものです。
ここでは子宮内膜症に用いられる2つの手術方法について詳しく説明します。
まず保存的手術について解説していきます。
この手術方法は子宮と正常部分の卵巣を残し、子宮内膜症の腫瘍のみを
摘出する手術の事です。
摘出する際に、もし他の部分にも癒着がある場合は、その部分も除去します。
保存的手術方法を用いる患者さんは主に症状が比較的軽い人、未婚の人で
将来に妊娠・出産を希望している人に対して執刀されます。
保存的手術の場合は治療の項でも前述している内視鏡を使った
腹腔鏡手術が主流となってます。
また手術を行っても年齢にもよりますが20代から30代前半ぐらいの女性の場合は
数年で子宮内膜症が再発する可能性があります。
次に根治的手術の説明を行います。
この根治的手術というのはその名の通り、根本から源をとりさる手術です。
子宮内膜症の原因ははっきりとは不明ですがやはりホルモンのバランスが
大きく関わっていると考えられてます。
この根治的手術では子宮、卵巣、卵管その全てを摘出する事によって
女性ホルモンが分泌されなくなります。
結果、内膜症の組織も自然に小さくなってなくなるという事です。
ただしこの手術では子宮、卵巣、卵管全てを摘出する為、症状が非常に重く、
また閉経が近い人にのみ行われる事が多くなってます。
また子宮内膜症は完治しますが、卵巣を摘出してしまう為におこる手術後の
更年期障害に近い症状があらわれやすいというのも頭にいれておきしょう。
子宮内膜症と妊娠の関係は非常に深いといえます。
前述しましたが、不妊症の方の何割かは、子宮内膜症を同時に患っています。
子宮内膜症は子宮の内側にあるはずの組織がなにかしらの原因で
それ以外の器官にうつり、増殖する病気です。
大体増殖する場所は卵巣、卵管など妊娠と直接関係のある器官といえます。
子宮内膜症が妊娠させづらくさせる原因としては下記が考えられています。
・内膜症の癒着による卵管の閉塞、運動障害
・腹水と呼ばれる物質が子宮内膜症により増加しており、それにより
妊娠の妨害をしているマクロファージと呼ばれるものが増加してしまう。
・また同じように腹水の中に含まれるサイトカインという物質によって
精子の機能を低下させてしまっている
・プロスタグランディンによる卵管の異常な収縮が、
卵子の輸送や受精を邪魔している。
などが考えられています。
また子宮内膜症の治療を行う事で、その治療自体が妊娠を妨げているのも
見逃せない点だと言えるでしょう。
妊娠しずらいという状況は色々なプレッシャーなり子供を期待している人への
裏切りと感じてしまい、悩んでしまっている方も多いようですが、
子宮内膜症になると100%妊娠できなくなるわけではありません。
ただし不妊で悩み、受診したところ、子宮内膜症であるという指摘を
受けた方も多いというのも事実です。
近年、増加傾向にあるこの病気、年齢的にも20歳から30代中盤ぐらいまでに
一番多くみられ今では10代での発症も珍しいものではありません。
多くの妊娠したい女性を悩ませているこの病気、一番良くないのは
症状をそのままにして治療を怠る事です。
治療する事で妊娠の妨げになる事は前述しましたが、それでも通常通りに
妊娠できるようになる身体になる為には子宮内膜症の治療が必要になります。